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大宮エリーさんと

お仕事の話 Vol.3

かつては大手広告会社に勤め、独立後は作家、演出・脚本家、画家など、ボーダーレスなクリエイターとして活躍する大宮エリーさん。さまざまな仕事を通してエリーさんが感じたこと、大切にしてきたこと。働くことの厳しさと喜び。そして職場で頑張るすべての人へ伝えたい思いを語っていただきました。第3回は広告会社を退社し、一人で活動を始めてからのお話です。

撮影/佐山順丸 取材・文/細谷あつ子

仕事を依頼してくれる人に感謝して、
その信頼と期待にこたえたい

どんな仕事も一生懸命やれば、必ずだれかが見ていてくれる

 さて、「とにかく一人になろう」と広告会社を辞めた大宮エリーさん。先のことは何も決めていなかったため、ハローワークにも通ったといいます。そんなとき舞い込んできたのが『週刊文春』での連載エッセイの仕事でした。「小説を書いたら?」という話もあったそうですが、ご本人いわく「定期収入が欲しいから」、週刊誌連載を選択。そのエッセイが『生きるコント』という本にまとまります。

「すると、それを読んだ人から新しい仕事が来て。『なんであたしにファッション誌の仕事が?』と思うと、『「生きるコント」のファンなんだよ』って。どんなに小さな仕事でも一生懸命やっていると、必ずだれかが見ていてくれる。そこから仕事が広がっていくんです」

 そんなふうにドラマの演出などの仕事も始まっていった、とエリーさんは振り返ります。それでも新しい仕事に挑戦するときは、「果たして自分にできるのか」という不安も大です。

「でも仕事を依頼してくれるのは私への信頼があるからですよね。それに感謝して、信頼にこたえたい。期待してくれていることを、達成したい。その思いで、頑張るんです」

 とはいえ、初めて飛び込む現場では当然、困難も。あるテレビドラマで監督を務めたときは、いわば〈外様〉の自分が言うことをスタッフが全然聞いてくれなかったそう。そこでエリーさんが放った起死回生の一打とは!?

「あるとき、まだ撮影も始まっていないのに、なぜかいきなり『カット!』って言っちゃったんですよ。『監督、まだスタート言ってないです』って言われたから、『あ、そう? じゃあ、スタート』と。その一件でみんな、『この女にはかなわない』と観念してくれたみたい(笑)。未知の職場ではむずかしいこともあるけれど、出身やキャリアは関係なく、なんとか心をひとつにして格闘しなければなりませんよね」

仕事ではベストを尽くす。すると次の人生が待っている

 そんな〈格闘〉を繰り返し、映画監督業やテレビ・ラジオ出演など、さまざまな仕事を手がけてきたエリーさん。でも自分の意志で積極的に仕事の幅を広げてきたわけではないとか。それもあって、「マルチなクリエイター」と表現されるのはおもはゆい、と笑います。

「じつは私には『こんなことがやりたい』『こうしたい』という気持ちはないんです。相手が『これ、できるんじゃない?』と与えてくれた仕事を通して、才能を引き出してもらっているだけです。仕事に対するプライドはあるけれど、自分自身のプライドはないから。でも、すべてのことには意味があり、タイミングがある。そして、そのすべてが今につながっていると感じます。だから、いただいた仕事はとりあえず、やる! そして、ベストを尽くす。それを経験したら、また次の人生が待っている。そんな運命を感じますね」

 そんなエリーさんが、まさに運命的に出会った新たな地平が、〈絵〉でした。「絵を描きはじめて、『これが今までやってきた仕事の最終章か』と感じました」。次の最終回は、エリーさんがそう語る絵のお話から始めましょう。

Profile

大宮エリー

1975年生まれ、大阪府出身。広告会社勤務を経て2006年に独立。映画「海でのはなし。」で映画監督デビュー。以後、作家、脚本家、演出家、CMディレクター/プランナー、画家などとしてマルチに活躍中。2012年に初の個展「思いを伝えるということ」展を開催。以降、「生きているということ」展、「見えないものが教えてくれたこと」展などを各地で開催。テレビ、ラジオでも活躍するほか、『生きるコント』『物語の生まれる場所』『猫のマルモ』『なんとか生きてますッ』など著書多数。
http://ellie-office.com/

Information

© Ellie Omiya, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
北陸で初となる大宮エリーさんの個展が、福井県の「金津創作の森 アートコア ミュージアム‐1」で開催。新作と代表的な絵画作品のほかに、「金津創作の森」の野外空間を大胆に使った大画面のライブペインティングを展示しています。

http://sosaku.jp/event/2017/omiya/

~6月11日(日)
「大宮エリー展 This is forest speaking ~もしもし、こちら森です」

エリスポ開幕!
「中目黒 蔦屋書店」を皮切りに、全国のTSUTAYAおよび蔦屋書店を行脚する「ELLIE EXPO in TSUTAYA(エリスポ)」JAPANツアーがスタート。

中目黒 蔦屋書店は、~5月19日(金)。
詳しくはこちらをチェック!http://tsutaya.jp/ellieexpo/

渋谷ヒカリエ8階の小山登美夫ギャラリーにて絵画展「Secret Garden」が開催中。
~5月22日(月)。
http://www.hikarie8.com/artgallery/2017/04/ellie-omiya.shtml
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